地球上に眠らない動物はいません。眠るということは非常に無防備な状態。生命の存続に大きなリスクがある事がわかっていても、人間を含めた“動物”は「睡眠」をとり、進化を遂げてきました。少し前までは、睡眠は単なる休息や眠気の解放とされてきましたが、睡眠は脳の機能回復に重要な役割を担っていると分かってきました。

1950年代にレム睡眠の発見が契機となり、2002年に「睡眠学」という新しい学問体系が提唱されました。近年、様々な研究が進むにつれ、睡眠が記憶の整理・定着、自律神経やホルモンバランスの調整、免疫機能の増強、脳の老廃物の除去など、重要な働きがあることが分かってきました。適切な睡眠をとらないと、日常生活のパフォーマンスが低下するだけでなく、肥満や糖尿病、高血圧といった生活習慣病をはじめ、精神疾患や感染症、がん、認知症の発生リスクも高まります。